コラム 

 

少年事件 内省とは何をすることか (弁護士 佐藤初美)

 
我々弁護士が、付添人(刑事事件で言えば弁護人)として少年事件(正確には、少年保護事件といいます。)に関与する時、内省という言葉を意識しながら活動します。
 
この内省について、ある研修で、次のように語られていました。
 
1つは、非行事実とその周辺事実(立件されていない非行とか非行の動機や経過、それから共犯者、被害者、事件関係者への感情)について、客観的に、率直に、過不足なく語ると言うことが、内省に至る1つの道です。
 
2つ目は、非行の背景となった本人の考え方や生活について具体的に語ることができる、そしてその改善方法にまで思いが至るということが必要です。
 
3つ目は、被害者の被った損害やその思い、感情に共感できる、それから少年本人でできる被害の回復法、弁償や謝罪を具体化する姿勢を示すこと、これが内省の深さを図る大きなポイントになります。
 
以上の3つの方向性の行為を通して、少年自身の自尊心を高め、自らの進路について何らかのあなたの考えを育む。これが内省のプロセスです。
 
ただ、少年の語る内省のプロセスは、裁判官・調査官と言う聞き手が共感できないと、内省が深まっていると裁判官・調査官は理解できません。すなわち、聞き手が共感できなければ内省していると言う風には受け取れないのです。内省は、その子供の心の中に起こってきているものであるとともに、聞き手とのコミュニケーションの中で生じてくるものでもあります。
 
内省と非常に紛らわしい発言としては、被害者をそっちのけにして、やたらと親に申し訳ないと言うことが挙げられます。これはその子の未熟さを示しており、内省としては浅い段階と言えます。それから自分を過度に卑下したり、あるいは、非行内容から考えて不相応な反省の言葉が出てくるのも要注意です。これも本人の未熟さの表れであったり、あるいは「防衛」であったりして、内省の深まりではありません。
 
私も、少年事件での、少年との面接の際には、少年と意見を交わしながら、①少年の内省を深めてもらうため、②そして、それを少年審判に反映していただくため、③さらには、少年審判後の更生に活かしてもらうため、少年の現段階での内省の結果を書面化し、家庭裁判所に写しを提出するとともに、少年審判後、原本を少年に渡すようにしています。もちろん、私の自己満足ではなく、聞き手が共感できなければ内省していると言う風には受け取ってもらえないのですから、付添人としては、調査官など、少年審判の関係者との面接などにより、方向性を調整することも必要です。